吹奏楽・管打楽器のウェブメディアWind Band Pressの裏話

吹奏楽・管打楽器のウェブメディアWind Band Pressの編集長、梅本がたまに裏話なんかを書くブログ。

新入部員(団員)に「即戦力」を期待しない

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こんにちは!

Wind Band Press編集長/ONSAの梅本です。


裏話的なことはないのですが、4月ということで昔のことを思い出したりしたのでちょっと書いてみようかと思います。

昔、就職活動していたときに「即戦力」という言葉が流行りました。2000年くらいの話ですね。

新卒で入ってきた新入社員を「即戦力」として扱おう、という、まあ簡単に言うとそんな話です。確かに入ってきた人がすぐに活躍してくれれば助かりますよね。

とはいうものの、「即戦力」という響きはなんか強そうですが、新しい組織に入って「即戦力」になれる人なんてそうそういないものでした。

これは会社だけでなくて学校の吹奏楽部や社会人吹奏楽団でも同じです。

もちろん吹奏楽の場合は経験者の人が「即戦力」として活躍したいと思って入ってくることもあると思います。自信満々ってやつですね。

ですが「即戦力」であろうとする人と「即戦力」を求める人の意識には差があるのではないかと考えています。

新しく入った人は既存の組織のダメなところが目に入りやすいので、革新を起こすこともできます。それこそがまさに「即戦力」の役割であると思うのですが、既存の組織がそれを邪魔してしまうことがあります。

なぜなら既存の組織側が求める「即戦力」は「既存の枠組みの中で『便利に使える』人」のことを指している場合が多いからです。(あくまでも経験からくる印象ですけれど)

なのでそもそも「即戦力」を求めること自体がどうかなと思うのです。

吹奏楽部や吹奏楽団に関しては、新入部員(団員)が人間関係の面とサウンド面の両方でバンドにうまくフィットするまで時間がかかるかと思います。

それまでは既存のメンバーが頑張らないといけないし、新入部員(団員)をあらゆる面でフォロー・サポートしていきたいですね。その結果として革新が起きるならそれでいいと思います。「即戦力」ではないかもしれませんが、新しく入ってもらった効果が出たという感じになりますね。

最初から「即戦力」を勝手に期待して、相互の「即戦力」感に差がある状態で、「なんだ期待はずれじゃないか」と雑に扱うようなことがあってはいけないと思います。

やはり「チーム」としてどうあるか、どう変化していくか、ということをしっかりと見据えておきたいところではないでしょうか。

余談ですが「即戦力」として採用された僕の最初の会社では、「即戦力になれるようにがんばります!」という新入社員もいれば、「即戦力はハードル高いよね・・・」という僕のような新入社員もいました。

法人営業の会社だったのですが、実際のところ「既存の枠組みの中ですぐに結果を出す」というのはほぼ無理で、そんな中で各新入社員が配属された各チームでは、マネージャーとかいろいろな肩書を持っている上司が「おまえ全然即戦力じゃねーなー、うちのチームの成績上がらないじゃないか」なんて言いながら特に新人を会社にフィットさせたり仕事がうまく回るように教えたりすることもなく、「即戦力」の名のもとに放置プレイで、文句を言っている本人は仕事中にヤフオクでスニーカーを漁っていたりしたのでした。

結果的に新卒入社が1年のうちにほとんど辞めたんですけどね。さもありなん、という職場でした。

新人が組織に変化をつけるためにはまず現状を把握しないといけませんし、変化をつけないにしても現状にフィットしないといけません。

いずれにしても「チーム」であることが重要なんじゃないかなと思います。

「あの人は経験者でそこそこ吹けるから」といって放置したり、勝手に期待値を上げたりしないで、バンドの方向性を知ってもらうことであったり、人間関係で悩まないような配慮であったり、既存のメンバーにはそういう役割が求められるのではないでしょうか。

僕が大学生の時の話をすると、僕は高校の時はテューバだったのですが大学ではクラリネットをやりたかったので、初心者でした。1年生のときは結構手厚く先輩から指導をしてもらいましたね。おかげでなんとか馴染めた気がします。

逆に経験者の同期はそこまで保護されないというか、ポンポンと最前線に放り込まれている印象で、そうはいっても部活に馴染めるかどうかはまた別問題で、結局クラリネットの僕の同期は最終的には誰もいなくなりました(一人いましたが休部だったので実質部活に参加しているのは僕だけ)。

僕が上級生になったときも、新入生のうち経験者は相変わらず先輩の方針で割とポンポンと前線に放り込まれて、期待されて、まだ馴染んでもいないのにコンクールメンバーに選ばれて、それはそれで辛かったんじゃないかなと思います。

僕は初心者への指導の担当をやってました。やっぱり後輩の中でも経験者グループと初心者グループの間でなんか溝があるような感じはしましたね。

初心者だとか即戦力だとか、そういうことよりも、まずは「良いチーム」を作る、そちらに注力するのが新年度の肝かなあ、という気がしたので今日はそんな話を書いてみました。

Wind Band Pressでこんな記事があるので、ぜひ参考にしてみて下さい。

■どうやって「良い組織」「良いチーム」を作るか?「チームビルディング」の考えを吹奏楽部・吹奏楽団に応用してみる話について伺いました

https://windbandpress.net/8999