吹奏楽・管打楽器のウェブメディアWind Band Pressの裏話

吹奏楽・管打楽器のウェブメディアWind Band Pressの編集長、梅本がたまに裏話なんかを書くブログ。

メディアへの情報提供は「ラブレター」だという認識を持とう、という話

 


こんにちは!Wind Band Press編集長/ONSAの梅本です。


今日は「メディアへの情報提供は「ラブレター」だという認識を持とう」というタイトルでブログを書いてみます。

Wind Band Pressはただの情報サイトから「読み物」を中心としたメディアにゆるやかに移行している期間なのですが、ちょくちょく情報提供をいただきます。これまでの経験から、「メディアとして記事にしやすいかどうか」という視点のお話をしましょう。

提供される情報は色々あって、「演奏会やります」「なんかしらリリースします」みたいなのが多いのですが、よくある文面はこんな感じのものです。

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Wind Band Press編集部 御中


この度、演奏会を行うことになりました。

つきましては掲載をお願い申し上げます。

チラシのPDFを添付いたします。

詳細は下記よりご確認ください。
http:// -----

どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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ここまでざっくりした人はごく一部ですが、だいたいこんな感じです。

昔だったら僕も対応したのですが、今のWind Band Pressは広告収入もないのでPVやアクセス数をしゃかりきに追いかける必要がないんですよね。

そうなると、チラシのPDFや少ない情報、ウェブサイトのリンクだけ投げてきて「掲載してください」というパターンは「まあ、別に記事にしなくてもいいか・・・」と後回しになってしまいます。状況によっては完全にスルー。

おそらく他の広告収入を柱にしているメディアにしても、PVが稼げない情報の処理に時間をかけたくないと思うんですよね。


メディアの元には各社から雨あられのように「インフォメーション」が届くので、正直それ専門で一日中情報を処理しているスタッフがいない限り、PDFから文字起こししたり、リンク先の情報を整形したり、自分でコメント入れたりっていうのはかなり難しいです。SNSから引っ張るほうがよほど楽なのでそういう「まとめ」をやって稼いでいるメディアもあるでしょう。

特に今は景気も悪く、そういう時に企業の経費から真っ先に削られるのが広告費なので、雑誌もウェブメディアも広告収入が減っていて、続けるかたたむかというような状況にあると思います。Googleアドセンスもこの先どうなるかって感じです。

そんな中で、お金にならない情報だったり、「あとはよろしく」的なメールは、当然のごとく後回しにされるか無視されます。適切な情報が網羅された丁寧なメールを優先的に処理するわけです。メディアの人って「人」であって機械ではないですからね。

ラブレターを書く時に、面識のない人や普段交流がほとんどない人で、なおかつ他の人からもたくさんラブレターをもらっている人に「付き合って下さい」と一言で済ます人はいないですよね。(最近はLINEかもしれないのでそれもあるかもしれないけど下地がないと成功しないでしょ)

メディアの情報提供、つまりプレスリリースですけれど、それってラブレターのように書かないといけないのです。どうしてもあなたと付き合いたい、あなたのことが好きだと伝えなければいけない。

なのに「詳しいことは自分で調べてくれ、俺は知らん」みたいなレターが来る。まあ無視ですよ。それってラブレターじゃなくて郵便受けに入ってる謎のチラシと同じレベルの扱いなんですよ。「詳しくはお電話下さい!」みたいな。

それを欲しているメディアもあるので一概にそれがダメとは言えないですけど、もう少し丁寧にすると掲載される可能性があがると思います。掲載するかどうか、記事にするかどうかを決めるのはメディアで、メディアの方針もどんどん変わるので、「前に掲載してくれたから」といって雑なメールを送っても、相手にされなくなることはあります。これはWind Band Pressに限らずです。

ということで記事にしやすい、さらには取材にもつながりやすい情報提供(プレスリリース)について、ONSAの例を載せてみます。演奏会じゃないんですけどね。だいぶ前に作ったやつで、この後取材につながったやつです。

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タイトル:

ONSAが吹奏楽や管打楽器のCD・DVD・楽譜などを取り扱うオンラインセレクトショップ「WBP Plus!」をオープン

本文:

吹奏楽・管打楽器の情報サイト「Wind Band Press」の運営や、楽譜の出版事業「Golden Hearts Publications」を展開するONSA(所在:広島県広島市、代表:梅本周平)は、11/13(月)に新規事業として吹奏楽や管打楽器のCD・DVD・楽譜などを取り扱うオンラインセレクトショップ「WBP Plus!」をオープンしました。


■事業開始のきっかけ

吹奏楽・管打楽器の情報サイト「Wind Band Press」の運営を通じて、自分自身新たに多くの演奏家、作曲家の演奏や作品に触れて参りましたが、それを紹介するだけでなく、実際に販売することで、より多くの方々に「ただの情報で終わらせない」場を作りたいと考えていました。

特にCDについては、毎月のように高い演奏水準のCDをレコード会社様よりご送付頂きレビューを書いています。これを是非より多くの方々にお聴きいただきたいと考えました。

またWind Band Pressでは海外の情報も扱っていますが、それを販売する場も欲しい。そのようなことから、精査の上、まずはYahoo!ショッピング内に出店することとしました。

ショップURL:https://store.shopping.yahoo.co.jp/wbpplus/


■商品セレクトについて

商品のお取り扱いについては、「何でもかんでも」扱うタイプのショップではなく、「本当にクオリティの高いものを厳選する」というコンセプトで行います。

Wind Band Pressを通じて知った商品、これまでの10年以上に及ぶ業界経験の中で知った商品の中から、自信を持って推薦できる商品だけを選んでいます。

まだ交渉中のメーカーもあるので取り扱いたい商品すべてをラインナップ出来ていませんが、すでに契約済みのメーカー・出版社も含めて、現在の何倍もの「取り扱い希望リスト」があります。

それでも世の中に出ている吹奏楽、管打楽器関連商品のほんの一角でしかありませんが、国内外を問わず、「自分が良いと思った商品」をなるべく多く取り扱えるようにしていきます。


■日本の良質な商品を海外へ

また、海外への配送にも対応しています。(海外からのご注文については、決済方法はPayPalのみです)

日本の良質なCD、素晴らしい演奏家や指揮者の演奏、そして優れた作品(楽譜)をなるべく多くの海外の方々にもお届けしたいと考えています。


■今後の展望

既存の商品だけでなく、クラシック音楽の愛好家(演奏家、リスナー)の生活に役立つ、または生活のアクセントになるようなオリジナル商品の開発についても検討をしています。

アイディアの公募を行う可能性もあります。

Facebookページ:https://www.facebook.com/wbpplus/

Twitterアカウント:https://twitter.com/wbpplus


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こんな感じです。この後にさらにメディア向け限定の取材先についての連絡先情報を入れています。

今見るとかなり雑で「俺って馬鹿だな」と思うのですが、例えば演奏会であれば、書いてあることをまるっとコピペして済むなら忙しくてもサッと対応することは可能です。

それが「リンク先を見ろ」「PDFを見ろ」「添付資料を見ろ」となると一気にハードルが上がります。特にウェブメディアの場合はアイキャッチ用の画像を作るので、PDFはPDFで添付しても構いませんが(見られないかもしれないけど)、それとは別にPDFのJPGバージョンも添付しておくだけで少しハードルが下がります。

何より文面から「掲載してくれるんだよね当然だよね」みたいな雰囲気が漂っているメールがたまにあるんですが、僕なんかはそういうメールが届くたびに嫌な気分になります。一人でSNSで頑張ってね、という感じです。知り合いだったらまだツッコミやすいし「あれとこれを用意してよ」と言いやすいんですけどね。

Wind Band Pressは最近はコロナの影響やメディア自体の方針転換もあってそういう情報提供も減っているので別にそんなに困ることはないのですが、いにしえのラブレターを書くつもりで想いを伝えないと、ポイッとゴミ箱に捨てられてしまうので、どの媒体に情報を送る際にもラブレターを書くつもりでわかりやすく、伝わりやすく、漏れのないように、そして推敲して送るようにすると、掲載率も上がるかもしれません。

この業界(界隈?)は狭いので、「オトモダチ」だからやってくれるだろ、と甘えていると、しっぺ返しを喰らいますよ、というお話。

基本的にお金が絡むか絡まないかに限らず誰かに何かをしてもらう、人を動かすときというのは善意で成り立ちますからね。特にお金が絡まない(掲載料とか取られない)場合は、想いが強くないと「お見送り」されてしまいます。それを雑なメールを送っておいて「掲載してくれなかった」と恨まれても困るわけです。付き合ってくれなかったから刺した、みたいな。

どのような文面、どのような情報、どんな資料を用意すれば相手が動きやすいか、どんなことをしたら嫌われるか、どんなことを言えば想いが伝わるのか。

大は小を兼ねると言いますから、ラブレターを書くつもりで周到に用意して、媒体に合わせてカットしたりすれば良いかなと思うのですが、どうでしょう。

そして今回掲載されなかったら、なぜ掲載されなかったのかを考えて修正していくと、だんだんとメディアに掲載されやすいラブレター、取材が来るようなラブレターを送れるようになるのではないでしょうか。

ファイト一発!頑張ってくださいね!